韓流シネマコレクション5

今日は「南北分断の悲劇」特集でした。かなり密な4時間半でした。


シュリ [DVD]

シュリ [DVD]

一本目は、韓国映画が有名になったきっかけ?とも言える「シュリ」(原題「쉬리」)。
今さら説明不要かとは思いますが、「ブラザーフッド」等のカン・ジェギュ*1監督のスパイ・アクション映画です。
とりあえずハン・ソッキュソン・ガンホ、それからチェ・ミンシクまで出演している豪華映画で、
映画の冒頭でキャストの名前が出てくるのを見ただけでちょっとぞくぞくしました。←きもいですね。
(1999年の作品なので、当然ながらみなさん今よりフレッシュ。)


南北分断の歴史的悲劇を、男女の悲恋という普遍的テーマを通じて
うまく描いている作品と言われているのですが、
正直日本人のわたしにはその民族的な悲しみについては想像することしかできないので、
映画を見ている間中、どうしても踏み込めない距離があると感じていました。とても歯がゆい。
「祖国統一、万歳!」という言葉、朝鮮半島の人々にはどんな風に響くんだろう。


内容的には見ている間中ハラハラしっぱなし(特に蚕室スタジアムのシーンはすごかった!)という、
わたしの苦手ジャンルの映画ではありましたが、
ロマンチックなシーンや熱い友情に涙するシーンもあって、
そこらへんのミックスっぷりがさすが韓国的でした(やっぱり昔の映画だなという幼さ?は感じましたが)。
ちなみに「シュリ」とは、朝鮮半島にだけ生息する、淡水と海水を自由に泳ぎまわる魚の名前らしいです。


韓国情報機関員の2人もよかったのですが、しかしなによりもチェ・ミンシクが印象に残っています。
途中で見せたあのせつない表情・・・。北の特殊部隊隊長があんな顔していいのかしら。
でもそんなところも北の事情を感じさせるようだわ・・・というのはちょっと贔屓目かもしれませんが。


シルミド / SILMIDO [DVD]

シルミド / SILMIDO [DVD]

二本目はこちらの「シルミド」(原題「실미도」=実尾島)。
こちらはカン・ウソク監督の2003年の作品ですが、映画の舞台は1968年〜71年。
北朝鮮特殊部隊による大統領府を襲撃事件を受けて、韓国政府が極秘に進めた金日成暗殺計画と、
それに関わった秘密工作員達の悲劇を描いたことで、
「長い間隠されてきた歴史の事実が明かされた」と韓国で大反響を呼んだ有名な作品です。


「シュリ」の方は、韓国情報機関員と北朝鮮女性スパイとの悲恋という、
「いやいやそんなバカな」と思わせてくれるポイントが織り込まれていたためまだ救い?があったのですが、
こちらは社会告発的な意味合いを強くしたいのか、そういったわかりやすい部分がないので
(少なくとも無知な外国人のわたしには、どこの部分がそうなのかわかりませんでした)、
その分ずーーーーんと重くのしかかってきました。「シュリ」と合わせての4時間半、
わたしはどれほどの人が銃で殺されたり殴られて血を流すのを見たでしょうか。
(そして、女性への暴行だけは、どうしても受け付けられませんでした。)


とはいえ、後半になるに連れて、これはドキュメンタリーではなくやっぱり娯楽映画なんだ
という印象が強くなっていきました。
恐い軍曹が持っていた袋いっぱいのキャンディー、オンマへの愛、それからバスの中での血の署名。
意外と甘いものが好きだったり、家族の存在が垣間見えたり、名前を呼びあうことによって、
恐ろしいだけに見えた兵士達がどんどん人間に見えてくる・・・泣かせどころです。


あとは俳優陣が豪華なことも見逃せません(てミーハーになりたい気分)。
ソル・ギョングはさすがにすごい存在感でしたし、
あの血気盛んな元死刑囚の若者=チョン・ジェヨンが、
ガン&トークス」のあのタナベ誠一似の人だとわかってびっくりです。全然印象が違う・・・。
(彼は「ウェルカム・トゥ・トンマッコル」にも出てるから今後も楽しみです。)


なお、この映画の反響を受けて、2005年1月に韓国政府は事件の真相追及を決定したそうですが、
その後はどうなったのでしょうか・・・。
無知な外国人ながら、真実が明らかになることをひっそりと願っています。

*1:わたしの友達と一緒の名前?同じく「帝圭」と書くのかな。だとしたらカッコイイ!