合宿二日目

dough2004-01-11


今日は朝から夕方までひたすら一つの曲集(2曲)に取り組んで歌ってました。

難解な現代曲であり、普通に想像される合唱の範疇をはるかに越えているような曲です。


今日は作曲者の先生にも来ていただいて、いろいろ教えていただきました。

印象的だったのは、「わたしは人間の声でオーケストラを越える音楽を創りたくて

アカペラをやってるんですよ」というお言葉。

なるほど、そういうことか…と全てが一度腑に落ちた気がしました。


たぶん、そういうことに自分で気付くことができないわたしは、
先生がおっしゃるところの「音楽的に白痴」状態なのです。

この合唱団に入ってから、そのことをきちんと認識しました。


そもそもわたしには表現者として致命的な弱点があります。

学生時代は、主に神様を讃える歌や若い人向けの希望に満ちた感じの歌を歌っていて、

そういう音楽を演奏することによって自分まで少し「いいもの」のように思える瞬間がありました。

偽善だとは思うけど、自分の中にも少なからずそういう部分があって、
歌っている瞬間だけはそれを膨らますことができていたからだと思います。

R.E.M.の歌でat my most beautifulという歌があるけど

この言葉の意味がすごくよくわかります。


ところが、今取り組んでいる曲ではもっともっと醜いもの、憎悪や激しい怒り、

人間が大蛇に変化してしまうような狂気の沙汰を表現することが求められています。

そういうものもわたしの中にはしっかりあるのだから、不可能ではないはずなのに、

どうしても表現方法が見つからないのです。たぶん根本的に表現したくないのです。

自分の中の醜い部分を改めて取り出して人の前でさらけ出すような行為が怖くてたまりません。

そんなことには耐えられないのです。


そういう人間が歌おうとすること自体ちゃんちゃらおかしくて、

練習に参加すると自分はこの場で全く望まれていない存在だといつも痛感させられます。

だから練習に行く前はすごく憂鬱な気持ちになってしまいます。

それでも練習に参加しないことによって人非人として扱われることだけは避けたいので、

義務のように疲れた身体に鞭打って練習に参加してきました。

しかし、これははたして続けるべきことなのでしょうか…。


余暇を費やし、お金を払って、いったいわたしは何を得ているのでしょう。


まるで愚痴だけど、初めて自分が今の合唱団で感じていることを形式化できました。